スマートフォンやスマートウォッチで使われる近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」の標準化団体であるNFCフォーラムから、最新アップデート「NFC Release 15」が発表されました。
最大の進化ポイントは、接続距離が従来の0.5cmから2cmへと4倍に拡大された点です。これにより、タップミスのストレスが減り、支払い・アクセス操作がよりスムーズになると期待されています。
本記事では、NFC 15の基本概要と、ユーザー体験がどう変わるのかをわかりやすく解説します。
NFC 15とは?

2025年6月、近距離無線通信(NFC)の国際標準を策定するNFCフォーラムは、新たな技術仕様「NFC Release 15」を正式に発表しました。
最大の特徴は、通信可能な距離が従来の0.5cmから最大2cmへと拡大された点です。数値上は小さな変化に見えますが、実際の使用シーンではタップの成功率や使いやすさに大きな違いをもたらす重要な改善です。
さらに、NFC 15では従来のISO/IEC 14443規格との互換性を維持したまま、接続範囲の拡大を実現しています。これにより、既存のインフラやデバイスとの互換性を損なうことなく、よりスムーズで安定してNFCを使うことができます。
また、今回のリリースでは技術仕様に加え、製品の品質と互換性を担保する認証プログラムも同時に策定されており、対応製品の信頼性向上にもつながると期待されています。
ユーザー体験がどう変わる?
NFC 15の最大の魅力は、「かざすだけ」の体験がこれまで以上に確実で快適になることです。従来のNFCでは、デバイスの位置や角度が少しでもずれると読み取りに失敗することがあり、タップが失敗することも少なくありませんでした。
通信距離が最大2cmに広がったことで、まず期待されるのはタップミスの減少です。位置や向きにシビアにならなくても、一度のタッチで読み取りに成功しやすくなります。これにより、店舗でのモバイル決済や駅の改札などでも、よりストレスのない操作が可能になります。
また、スマートウォッチやスマートリングといったウェアラブルデバイスの利便性も大きく向上します。これらの端末は装着位置や姿勢によって接触しにくい場面もありましたが、接続範囲に余裕ができたことで、スムーズに通信ができるようになります。
さらに、スマートフォンをPOS端末として使う「Tap to Pay」や、商品に取り付けられたNFCタグの情報を読み取るといったケースでも、読み取り精度と速度が向上します。これにより、接触が難しい状況でも確実に通信できるようになり、業務効率の改善にもつながります。
このように、NFC 15の接続距離拡大は、私たちの日常におけるあらゆる かざす 操作をより失敗しにくく、快適にする進化といえるでしょう。
まとめ
NFC Release 15は、非接触通信におけるユーザー体験を大きく向上させる最新アップデートです。接続距離が従来の4倍となる最大2cmまで拡大されたことで、NFCの「かざす」操作が、これまで以上に正確かつスムーズになりました。
特に、スマートウォッチやリング型デバイスなど小型端末での使用時に恩恵が大きく、タップミスによるストレスが大幅が減ることが期待されています。さらに、NFCワイヤレス充電やデジタル製品パスポート(DPP)といった新しい活用領域にも対応し、NFCの使い道は今後ますます広がっていくでしょう。
今後は、NFC 15に対応した製品が順次登場し、私たちの生活はさらに便利でスマートに進化していきます。スマート決済、アクセス管理、製品情報の取得まで、タップひとつで完了する世界が、すぐそこまで来ているのかもしれません。


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